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京の造園

造園という造形芸術は、京都を中心に発展してきました。
それは、平安時代以降、京都がすべての文化の中心であったことにもよりますが、美しい庭木を育てるのに好都合な地理的条件や、造園に欠かせない素材などに恵まれていたためでもあります。
京都の庭園は自然風景式庭園と呼ばれていて、石、木、草、砂、苔など、庭を構成する素材のひとつひとつに意味が込められています。
造園はまず寺院で生まれ、やがて庶民の間に広がっていきました。

造園の歴史

わが国の作庭の始まりは飛鳥時代といわれています。
平安時代以降、大陸から伝えられた先進技術によって大きく発展し、その後日本独自の造園が生み出されました。

飛鳥時代

中国から伝わった須弥山・蓬莱山など仏教・道教の世界観を表現した庭園が造られました。

平安時代

平安京を造る際に、大陸から先進技術をもって渡来した人々が、土木工事その他で数多くの業績を残しました。
貴族の邸宅は寝殿造という形式で造られました。
寝殿の正面(南側)には遣水から中島のある池に水を流し込む庭園が設けられ、そこで曲水の宴などが行われました。 曲水の宴(きょくすいのえん)
水の流れのある庭園で、その流れのふちに出席者が座り、流れてくる杯が自分の前を通り過ぎるまでに詩歌を読み、できなければ罰として盃の酒を飲むという行事です。
なお、曲水の宴に使われた水路の跡が、京都大覚寺の大沢池で発見されています。
これは、平安時代初期庭園の貴重な遺構です。
平安中期には、庭園の地割、石組、滝、遣水、植裁等の技法の秘伝書『作庭記』が著されました。
浄土教の影響で西方浄土の極楽に見たてた浄土式庭園が流行しました。
ここでは、中心建築は寝殿の代わりに阿弥陀堂になっています。
またこの頃から、作庭の専門家として石立僧(いしだてそう)が現れて来ます。
作庭記
平安時代に書かれた日本最古の庭園書です。
寝殿造の庭園に関することが書かれており、その内容は意匠と施工法に関するものですが、図は全くありません。
作者については諸説ありますが、橘俊綱(1028〜94年)とする説が有力です。

鎌倉時代

禅宗の興隆と書院造の発達に伴って、作庭技術が向上し、多くの名庭園が作られました。
またこの時代には、夢窓疎石(1275〜1351年)をはじめとする作庭家が輩出しました。
夢窓疎石の作とされる庭園としては西芳寺、天龍寺などが有名です。

室町時代

禅院式の枯山水庭園が意匠され、確立されました。

枯山水(かれさんすい)
池や小川などの水を用いずに、石、砂、植栽などで水流を表現する形式です。
遊歩・散策などの実用的な要素は持たず、屋内から静かに鑑賞するように構成されています。
白砂の上に大小の自然石を立てたり、据えたり、組み合わせることで、ひとつの観念的な世界を表現しました。
それは山、滝、大河、大海原、島々など様々な風景を表現したものであったり、また仏教の宇宙観であったりしました。
代表的な枯山水庭園としては、龍安寺方丈石庭や大徳寺大仙院などがあります。

この時代の庭園は、巧みな地割や質実剛健な石組構成が特徴的です。
また、応仁の乱後は、一般町衆の間にも造園が広がっていくようになります。
間口が狭く奥行きが長い町家には、茶庭の趣をもつ坪庭が設けられました。

桃山時代

時代背景から、次第に豪華絢爛な庭園が多数作られるようになりました。
茶の湯が盛んになり、千利休によって茶室というジャンルが確立し、茶室に付属して露地が設けられました。
とりわけ飛石は、茶の湯の発展と共に露地で使われはじめたものです。

江戸時代

大名の城や屋敷に、庭園内を回遊することができる回遊式庭園が盛んに築かれました。
また、庭園内のみならず庭園外の景色を利用する借景という手法も用いられるようになりました。
その一方で、茶の露地のような質素な庭園も確立されました。
この時代の作庭家としては、小堀遠州(1579〜1647年)などが有名です。

明治時代

自然風景を取り入れた写実的な意匠が好まれるようになりました。
この流れは植治(小川治兵衛)によって完成され、現在に至るまで、大きな影響力を持ち続けています。

 

庭石の分類

石は庭を構成する要素のひとつで、欠かせない素材です。
日本庭園では主に、天然石を加工せずそのまま利用し、庭の要所に配置します。
これは日本独特の手法で、海外では天然石をそのまま利用することはほとんどありません。
複数の石を組み合わせて配置することを、石組といいます。庭石の材質、配置で庭園の表情が決まるとまで言われています。

庭石

1個(1石)で十分に鑑賞に堪えるもののことです。
庭の景観を作るポイントになります。

組石

2石以上の大小の石で構成します。
立石、伏石、平石、構石として使用します。
同系同色の石を使うのが基本です。

飛石

園路に配置する石です。
踏面が平らになっているものを進行方向に配置します。
小さ目の1足物から両足で立てる2足ものや多足物など、大きさによって呼称が異なります。

沓脱石(くつぬぎいし)

飛び石と建物の出入り口を結ぶ石です。
約90×40×30cm以上のものを使用するのが一般的です。

石積用

護岸および法面の防水や、土砂流出防止のために使用されます。

 

飛石の打ち方

飛石は、桃山時代から茶の湯の発展と共に露地で使われはじめました。
実用的であることはいうまでもなく、景観的にも非常に美しいものをもっているため、露地以外でも多用されるようになりました。
飛び石の打ち方には様々な種類があります。

直打ち

読んで字のごとく、石を真っ直ぐに打った飛石です。
変化に乏しく、面白味はありません。

千鳥打ち

一石ずつ右に、左にと打った飛石です。

大曲

直打ちと非常に似通った打ち方ですが、真っ直ぐではなく、大きく弧を描くように打った飛石です。

二連

石を真っ直ぐに二つずつ打ちながら、左右に振り分けていきます。
変化に富み、見た目にも、歩いてみてもおもしろい打ち方です。

三連打

二連と同様の打ち方ですが、三つの石を使用します。
直打ちや千鳥の中に入れると非常に変化に富み、また景観的にも美しくなります。

四連打

二連、三連と同様の打ち方で、四つの石を真っ直ぐに打ちます。
他の打ち方と組み合わせると、変化に富んだ飛石になります。

二三連打

二連や三連を組み合わせたものです。
方向転換したいときや、見た目の変化を付けたい場合に効果的です。

三四連打

三連や四連を組み合わせたものです。
二三連打と同様な効果が得られます。

雁掛(がんかけ)

ちょうど雁が大空を飛んでいるような形にジグザグに打たれた飛石です。

いかだ打ち

書院式の茶庭の飛石を打つ場合によく用いられる手法です。
二本の平行した板石がいかだに似ているため、この呼び名がつきました。

 
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